地域-但馬の風土に育まれる食べもの-

中国山地は東に延びて、兵庫県で急峻な山を形作って終わります。標高1,510mの氷ノ山は県内の瀬戸内地域と全く違う気象を演出します。高温多湿。冬には雪。高山に源を発する河川は大流円山川となって日本海にそそいでいます。天のヒボコ(神話)が大地を干すまでは広大な湿地帯が続いていたという兵庫県北部・但馬の地は、多様な生き物の生きとし生ける場でした。その食物連鎖の頂点にコウノトリが舞っていたと言われています。

今但馬ではコウノトリと共生する農業の拡大に取組んでいます。1971年最後の1羽を死に追いやった原因は、農薬の大量の使用であることはわかっていました。コウノトリの野生復帰のスケジュールは、農薬を減らした広範囲の農地にドジョウやふなが戻ってくることとの競争でした。

米、大豆、小麦、しょうが・・・「コウノトリ育む農法」「コウノトリ舞」ブランドの農作物が次々出荷されていきます。10年間で200haの規模をめざして但馬全域の取組みとなっています。私たちも大豆・小麦を得て醬油を醸造しました。「こうのとり醤油」と名付けています。但馬の気候に最も適応しながら代謝活動を続ける天然の野生種、耐塩性酵母がその主役です。

但馬は在来種の宝庫と言われています。農業の衰退と大手種子会社の台頭でいのちをつなぐことができなかった多くの植物がある中で、自家採種によって守られてきた野菜や穀物。種を取り続けてきた小さな取組みが、在来種を守る運動として静かに広がっています。

私たちも天然醸造・蔵付き酵母という製法で但馬種の微生物を引き継ぎながら、この地に生かされ、この地とともに生産を行っていきます。

 

 

2011年度 但馬産業大賞 写真情熱にあふれています

このほど大徳醤油が「但馬産業大賞」を受賞しました。地元の有機野菜を使ったノンオイルドレッシングの開発や、但馬の大豆・小麦でつくった「こうのとり醤油」の販売など、地元資源を活用した新製品開発が評価されて、「新分野にチャレンジする経営革新部門」で栄えある賞をいただきました。創業から101年。家の裏の蔵でつくったしょうゆを近隣のご家庭に、自転車や「バタコ」で届けてまいりました。歴史の荒波の中で少しずつ販売の形態は変わっても、(わたしたちは小さな会社なので)「消費者に最も近いメーカー」であり続けようと考えてきました。但馬の豊かな水、空気、土壌が生み出す農作物や発酵のもとになる微生物群。そして食べものを介してつながってきた人々との交流。今後も地元に生かされ地元とともに歩んでいきたいと思います。

 

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