地域-但馬の風土に育まれる食べもの-

大豆

3.11と遺伝子組換え

大豆イメージ痛恨の3.11から1年。「原発安全神話」の虚構が暴かれるにはあまりにも大きな犠牲でした。重苦しい気持ちを「すべての原発の廃炉」に向けて駆り立てなければならないと思っています。原発は核爆発を本性とするエネルギーを、お湯を沸かす(蒸気タービンを回す)ことに使うというとんでもない「技術体系」ですが、その背景には「核武装」の誘惑があります。同様に今進行している生命の根幹を操作する技術=「遺伝子組換え」は世界の食糧支配という「たくらみ」の中で繰り広げられています。穀物メジャーモンサント社は大豆の世界3大輸出国アメリカ、アルゼンチン、ブラジルのほとんどを組換え大豆の産地に変えてしまいました。その触手は日本にも及び、政府は組換え大豆の栽培認可に向けて地ならしを行っています。TPPへの加盟はその流れを加速することになります。

大徳醤油は他の加工生産者と共同で熊本の大豆生産者に契約をお願いし、生産量は100トンから150トンに及んでいます。同じく地元の兵庫県内では「コウノトリ育む農法」(農薬は種子消毒の1回のみ)で大豆づくりが始まりすでに80トンの産地が形成されつつあります。自覚的消費者と生産者、加工者が強いきずなの中でいのちの循環”を守って行かなければならないと思っています。

JAたじま「コウノトリ大豆生産部会」

JAたじま「コウノトリ大豆生産部会」2006年3戸の農家が但馬での本格的な大豆栽培を復活スタートさせました。「コウノトリ育む農法」で米を作ってきた篤農家の人たちです。2009年に豊岡農業改良普及所の協力を得て、従来から使用してきたこの地の小麦に加えて大豆の仕入れができるようになりました。私どもが1986年に国産原料の醤油の製造に舵を切った原点が、まさに兵庫県但馬地方の大豆・小麦の使用でした。環境創造型農業で作られた誇りうる大豆を得て、実に四半世紀ぶりに純但馬産の醤油を復活することができました。

コウノトリ大豆

品種:サチユタカ
栽培:農薬 種子消毒のみ 栽培期間中無農薬・無化学肥料 地元有機肥料の使用

ページの先頭へ

JAくま大豆生産部会

大豆生産者の方との写真熊本県南部。清流川辺川、急流球磨川にはさまれた地域を中球磨、町名をあさぎり町と言います。問屋さんを間において契約栽培をお願いして20年になります。
1993年の冷夏は国内の米、穀物に大打撃を与えました。大豆の仕入れに窮する私どもに支援の手を差し伸べてくれたのが提携する生活協同組合。
水俣病患者支援から有機農業を展開する「水の子」の紹介を得て産地との関係を作ってくれました。以来数年に一度産地を訪れながら交流を深め、安定した大豆の供給をいただいています。
品種;フクユタカ
栽培:フェロモントラップを使って農薬の散布回数を減らして栽培

JAくま大豆生産部会前会長 宮本幹夫さんとの写真JAくま大豆生産部会前会長 宮本幹夫さんより

山歩きが好きな中年のオヤジです。自分で作った大豆で豆腐を作っていますが、どれが私の大豆か当てることができます。部会長として働く農家のけんこうを任されています。農薬を減らすことは私たちの問題でもあります。フェロモントラップなどを駆使して農薬を減らし、生産者も消費者も健康であるよう努力していきます。

産地訪問記‐清流川辺川を訪ねて(2004年8月)

熊本県中球磨地方(あさぎり町)は清流で有名な川辺川、球磨川に挟まれた地域です。JAくま大豆生産部会長宮本さんに、川辺川を案内してもらいました。
30cmもの幻の鮎が今なお生息するという日本一の清流川辺川。この上流の子守唄で有名な五木村付近にダムが作られようとしています。急峻な 山と山に囲まれ、雨に煙る谷間の流れが細くなるあたりから山肌を剥いで連なる道路が現れました。工事用のアクセス道です。自然環境を大事にしたいという宮本さんは、このダムが農業用水としても発電用としても治水目的でさえ不要のものと批判します。水没する五木村の衆が反対しとるときに今のような声を上げていたら、とく悔しそうに言います。農業をつぶし、国の6割の食料を外国に委ねたこの国の政治が、取り返しのきかない自然破壊へと、ここでもアクセルを踏んでいるようです。人のいない子守唄公園で響く哀調のメロディはいっそう悲しく聞こえました。

国産有機大豆

北海道上川郡
品種:ユキホマレ
栽培:有機栽培
認証:北海道有機認証協会

ページの先頭へ