伝統-天然醸造という製法-

早よ早よっていえへん
自然の時間が一番ええ
この国でとれた
豆がええ
もろみにきいて
絞るのがええ

十数年前画家の貝原浩さん(1947年―2005年)さんが工場に来てイラストを描いてくれました。その時、「天然」という大きな文字とともに上の言葉を添えてくれました。

これまで醤油づくりの技術は、早く大量に製造することに投入されました。 もろみに温度を加える適温醸造と培養酵母を添加する技術は従来の醸造期間を半年に縮め、醤油価格を大幅に引き下げることに成功しました。今日の醤油の海外需要を作り上げたことと合わせ、大きな貢献であると思います。

しかし私たちは、四季の温度変化の中で蔵に住み着いた微生物が醤油を醸していくという伝統的製法・天然醸造を変えることなく守っていきます。それは環境に適合した微生物が自分たちのリズムで代謝活動を行い、その結果としてつくる醤油こそが本物だと信じるからです。

蔵の壁にタンクに住み着く「ご先祖様」からの酵母は、醤油にふくよかな風味を与えます。文字どおり熟成後に働く後熟酵母の力は時間なくして現れません。高い活性酸素捕捉能を有するみそしょうゆの機能性物質であるメラノイジンは長期熟成による色の濃化とともにその量を増やしていきます。

日本人の長寿を作ったのが「和食」なら、和食を支えたみそしょうゆが体の細胞と響きあう

調味料でなければならないと思うのです。

※私どもはもろみに温度を加えず、四季の温度変化の中で醤油を作る製造方法を従来の慣例にならって「天然醸造」と呼んでいます。

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